2025/06/24 12:41
知人のお宅に立ち寄ったある日。
庭の片隅で、見慣れたはずの緑が、どこか違って見えました。
視線を上げると、すっとのびた茎の先に、
淡く、繊細な花が咲いていたのです。
「花が咲いたの、はじめて見たの」
そう話す知人も、少しうれしそうでした。
あとで造園業者の方にも写真を見せてみたら、
「これは珍しい!」「めったに見られませんよ」と、思わず声を上げて喜んでくださって。
どうやら、トックリランの花は咲くまでに長い長い時間、数十年という月日がかかる花のようです。
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咲くまでの年月は、人の目には見えません。
けれど、ちゃんとその植物の中では、準備が進んでいたのだと思います。
何年も、もしかしたら何十年も。
それは、アクセサリーをつくる時間にもどこか似ていて。
積み重ねたひとつひとつの選択や手仕事が、ある日ふと
「いま、このかたち」として花開く瞬間に、静かに立ち会うような感覚。
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咲く時は、自然が運んでくる。
そのリズムを信じて、今日も、粒をひとつ。